国土交通省の住宅局建築指導課において、「社会資本整備審議会建築分科会基本制度部会中間報告(案)に関するパブリックコメントについて(該当ページ)」があり、本年2月15日が〆切でしたので、私も今までのことをふまえた上で、以下のようにまとめて担当部署に送りました。
こういったことを地道に積み重ねることが大切だと思いますし、安心した建築が世に増えるために必要なことだと思って作成したのですが、官は真摯に受け止めてくれるでしょうか。どうなることか楽しみです。
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国土交通省住宅局建築指導課社会資本整備審議会建築分科会基本制度部会中間報告(案)
パブリックコメント担当 様
(フリガナ) ハシモト ヨリタカ
氏 名 橋本 頼幸 一級建築士(第291818号)
住 所 〒558-0004
大阪府大阪市住吉区長居東4-13-20
メゾンよしの204
所属(会社名) 一級建築士+ファイナンシャルプランニング事務所
こま設計堂
一級建築士事務所登録:大阪府知事登録(イ)第20159号
電話番号 06-7892-3055
ファックス番号 06-6696-0602
メールアドレス hashimoto@pap-pro.com
意見の内容
(意見)
中間報告(案)に追加して以下の点を検討頂きたいと考えます。
1.建築士法関係
(1)建築士の何らかの団体への強制加入
(2)加入団体の権限拡大
(3)建築士の登録更新制度の導入
2.建築確認関係
(1)設計者・監理者の統計
(2)独立した監理者で無い場合の保険強制加入
(理由)
1.建築士法関係
現状では、実務に携わっている建築士がどこにどの程度いるのかが把握できていません。本来一級建築士であれば国交省に、二級・木造建築士であれば各都道府県知事に登録されているが、その中で設計実務に携わっているのか、施工に携わっているのか、教育(大学等の教員)に携わっているのか、あるいは引退して第一線から退いているのか、等が全く把握できていないのが現状です。これは、消費者から見れば非常に不都合が生じます。私は、住宅をはじめとする建物を、売買で入手する場合、新築であっても中古であっても建築計画概要書などから設計者・監理者個人を調べた上で、その個人の過去の経歴や賞罰などが明確になることを想定しています。現在は、残念ながら一般消費者は住宅購入の際に設計・監理者について関心を示すことはほとんどありません。しかし、販売業者や施工業者よりも、その建物の建築技術について詳細に知っているはずであり責任を負っているはずの設計・監理者が何よりも重要であることはいうまでもありません。今後、住宅取得前に「設計監理者」を知りうるような風潮がおき、そのようなことが啓蒙(もしくは教育)された場合、多くの人が「設計監理者」に関心を持つようになりその個人を調べられるだけの体制をきちんと整える必要があります。 建築士個人を登録する方が望ましいのか、建築士事務所を登録させた上で、全ての所属建築士を包括して登録することが望ましいのかについては、強制加入を受ける団体の性格によって検討が必要だと考えます。
つぎに、加入団体の権限拡大は、違反建築士の除名や業務停止処分が十分できるだけの権限を与えることが肝要だと考えます。しかし、そのためには違反事項と相応する点数を明確に定め、正確に管理することが必要だと思わます。また、その建築士事務所が専業(設計監理だけを行う事務所)か兼業(施工も行う事務所)か過去の賞罰なども常に把握、公開するようにするのもこの団体の重要な役割だと考えます。さらに、その建築士事務所と資本関係のある施工業者があるか否かも厳密に調査、把握しておくことも必要です。
建築士の登録更新制度は、より正確な数と建築士の動向を把握するために必要であり、なおかつより高度になっていく建築技術の取得を促進することが目的です。また、更新の際に実施した物件などを申告・登録することにより、より詳細なデータベースの作成、消費者からの問い合わせ等に答えるだけの体制を整えることが可能となると考えます。
2.建築確認関連
本来の確認業務は、必要最低限の建築関連法規を遵守されているかを確認するためのものであり、確認申請を合格したからといって、そこに明記されていない法令を無視していいことにはならない。建築士は、建築関連法規を遵守することを国や地方自治体から付託されているものであり、それすらを守れない建築士は厳格に罰することで問題はないと考えます。一部悪意を持った建築士が生まれるのは、建築士法に規定されている罰則規定が実質機能しておらず、仮に罰則を受けてもあまり社会的なダメージを受けないからです。罰則を厳格にし、消費者の目にさらすことで社会的に淘汰されることが必要です。
一方で、確認申請・中間検査・完了検査の過程の中で設計者・監理者を把握し、先の強制加入された団体と連携をとることで、それらをデータベース化することが必要だと考えます。Aという建築士の設計した物件の確認申請は何棟あり、その中で中間検査や完了検査をきちんと受検して合格しているのか、指摘事項にはどのようなことがあったのか、過去にはどのようなことが指摘されているのか、などを一元管理化するということです。そうすることで、一般消費者から問い合わせがあった場合に、その設計者は確認申請はするが完了検査を行っていない物件が大半である、とか、検査の際の指摘事項が多すぎる、等といったことが、一般消費者の目にさらされることになる。
さらに、瑕疵担保責任やその保険制度は必要であると考えるが、独立した建築士事務所(売買目的の建築主や施工者と利害関係を共にしない)である場合は保険への加入を任意にし、そうでない場合は強制加入を義務づけることで使い分けることが望ましいと考えます。売買目的の建物(いわゆる建売や分譲マンション)の場合は重層的なシステム故に、実質的な監理者を置かないことも多く、確認申請や設計図書通り建物が完成しているかどうかが担保できません。建築紛争や欠陥住宅の多くは実質的な監理者が不在で生じています。保険加入は一律強制ではなく、強制と任意ですみ分けるか、もしくは自動車保険のように強制加入は必要最低限度にしておくことが望ましいと考えます。実質的な監理者が存在するか否かは、建築主が売買目的か自己所有目的かが一つの目安になると考えます。ただし、それだけでは確認申請の際に建築主を名義借りするなどの対策がとられることが考えられるので、保険加入の状況を公開するか、保険未加入物件の売買を制限するなどの処置が必要であると考えます。
最後に
多くの建築士は、遵法の精神を持ち、国民の財産を担う一技術者として持てる能力を発揮するべく努力しています。しかし、残念ながら今回の一連の構造計算書偽装事件で明らかになったような、悪意を持った技術者やその廻りを固める人や業者がいるのもまた事実です。まじめに切磋琢磨している建築士が業務を行いやすいく、報われるような制度になることを切に望んでやみません。
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