ユーザ名: パスワード:
パスワード紛失   |  
(株)こま設計堂のユーザー登録について

早わかり!こま設計堂

(株)こま設計堂

〒558-0004
大阪市住吉区長居東4-13-20

メゾンよしの204
TEL 06-7892-3055
FAX 06-6696-0602
メール koma@pap-pro.com
koma_sekkei@yahoo.co.jp
Yahoo!からのメールは↑へ
地図へ
事務所案内pdf版

■■プライバシーポリシー■■
■■当サイトについて■■

Staff募集

コンテンツ

最近の記事

RSS

携帯サイト

リンク


トップ  >  コラム  >  2005年  >  尼崎脱線事故に思う
 この仕事をしていると人間というのが如何に勝手なものかというのがよくわかる。ある意味その勝手さというものが人間の人間たるを支えているような気さえする。

 確かにJRは相当悪い(ような気がする)。事後対応も雪印ほどではないにしても、とても先進国の最大手企業がとる態度ではない。そこは十分にわかっていて、あえて物申す。

現在の社会の脱線事故に対する流れはこうであろう。

安全よりスピードを優先した。わずか1分30秒の遅れを取り戻すのにスピードを出しすぎた。効率優先でアルミ車体(正確にはステンレスの車体だそうだ。'05.05.05訂正)を使ったことがさらに被害を大きくした。アルミ車体の安全性に問題はなかったのか?

すべて至極まっとうである。原因追及は今後の事故調査委員会などの報告をまとう。全くおっしゃるとおりである。しかし、しかしである。では、なぜJRが安全よりスピードを、安全より効率を求めるようになったのか、この検証が必要ではないか?とおもう。

関西在住の方はよくご存じであろう。
関西は昔から私鉄王国である。阪急・近鉄・阪神・京阪・南海様々な私鉄が大阪や難波などの中心部から郊外に向けて四方八方巡らされている。JRと平行して運行している路線も数多い。つまり、大阪からある目的地への行き方にはだいたいJR利用と私鉄利用の2通りがそろっている。よくできたものだ。JRはその昔、遅い・高いで、私鉄に大きく差を開けられていた。しかし、現在は主要都市を結ぶラインはJRの方が早い(少し高いけど)。そんな土地柄だ。

事故が起きた福知山線と東海道線は尼崎駅で神業のような正確さで列車が運行されている。このことは、おそらく何度も報道されていると思う。でも、私の口(文章)でもう一度おさらいしておく。尼崎駅は、一部の特急列車をのぞいてほとんどの列車が止まる。福知山線から来た列車と東海道線から来た列車が同時に向かい合わせのホームに入ってくる。そこで目的地に向けて必要な人は乗り換えをして同時に発車していく。普通列車も快速列車もである。実は、私は尼崎駅を通るたびにこのシステムに感動していた。かくもすばらしくぴったりとホームに入ってホームから出て行く。こんなシステムをきっちり運営しているJRはなんとすばらしいのか。

そんなシステムに飲み込まれてた23歳の運転士にとって90秒の遅れはかなりのプレッシャーになったのは想像に難くない。つまり自分が90秒遅れることで、尼崎で乗り入れしている列車が待たされるのか、あるいは先に出てしまって乗り換えができなくなるのかのいずれかである。

乗り継ぎがうまくできるというのは鉄道にとって結構重要な要素かもしれない。私も基本的にせっかちな性格だから、待ち時間の多い乗り継ぎは割とつらい。

でも、なぜそんなことになったのか、考える必要がある。

それは、利用する人、つまりお客さんがそれを求めたからではないか。私も求めたかもしれない。(このあたりは、正確には卵が先か、鶏が先かという議論になる。お客が求めたのか、JRがそう誘導したのか? 詰まるところ両者がそれをよしとしていたところがあるのは事実である。)いや、そうあればよいと思っていたに違いない。乗り継ぎがうまくいかなかったときにJRにクレームの電話をかける人が多少ならずともいたのではないか。運転士が上司にプレッシャーをかけられていたのと同時に、JRも”お客さん”にプレッシャーをかけられていたのではないか? もちろん、早く便利に走らせることで私鉄の客を取り込もうとした下心もあったかもしれない。しかし、営利目的の企業である。お客さんをなるべく多くとりこもうと考えること自体は、何ら責められることではない。安全性を犠牲にしてまで、と考えていたならばそれは大きな問題だが。

車体の軽量化についても、同じことのような気がする。
実は、私は交通騒音について研究している研究者でもある(論文を見て頂ければわかります)。もちろん鉄道騒音や振動についての研究もしている。実際に意識して聞いて頂ければわかるが、従来の鉄(スチール)の車両が軽量化された車両に変わることで騒音レベルが少し小さくなっている。また、警笛もスチールの車両の”プワァーン”という音から新快速型の車両では音楽に変わっている。鉄道騒音は実は近隣住民にとってとても大きな問題である。騒音のことを考えて車両を軽量化したことに何ら問題はない。

同時に、軽量化はもう一つの効果をもたらす。つまりその分1編成の車両を走らせるために必要なエネルギーは小さくてすむ。省エネルギーなのである。

それもこれも、結局時代が、社会が、利用者が、近隣住民が、求めてきたことである。安全性を無視して運行させていたとするとJRの責任はとても大きい。しかし、その責任を23歳の運転士だけに負わせることができるのか、あるいはJR西日本だけに負わせていいのか、JRの幹部に押しつけていいのか、よくよくその背景も考えるべきだと思う。

この手の大きな事故があると必ず報道は、”JRたたき”につながりそうな証言や見解を報道する。それはそれで報道のひとつの役割だから十分に理解できる。それと同時に、”JRを追い込んだ”状況にもスポットを当ててほしいとも思う。物事には必ず表があれば、裏もあるんだから。

とは、言っても冒頭に書いたように人間と言うのかかなり勝手な生き物である。自分が以前に要求したことやクレームを入れたことなどすっかり忘れて、結果だけを見て新たに不平不満をぶつけてくる。いや、いい。”忘れること”も人間の最大の特徴だから。”勝手な生き物である”と言うことがわかっていれば、と思うが・・・。

いずれにしても、今回の事故で亡くなられた方のご冥福をお祈りしてやまない。それと同時に真実が明らかになることを切に望む。

<車体がアルミではなくステンレス製であったらしいので、少し加筆・修正しました。'05.05.05>
前
衣食足則知礼節
カテゴリートップ
2005年
次
尼崎脱線事故に思う-2

新しくコメントをつける

題名
ゲスト名
投稿本文
より詳細なコメント入力フォームへ
©(株)こま設計堂 2018 & Powered by XOOPS Cube Legacy

Default Designed by OCEAN-NET & Arrangement by PAP Production